現代人は、日々時間に追われ毎日を忙しく過ごしています。一日の大半は、仕事や家事、子育てに費やされ、自分だけの自由な時間を作ることは難しい傾向にあります。
そんな生活が続くに連れて、私たちはストレスを抱えてしまい、健康に影響を及ぼすだけでなく、身近な家族や、仕事に同僚、友人との人間関係に亀裂が生じてしまうこともあるでしょう。その結果、人生が充実せず、日々悶々とした毎日を送ることになってしまいます。それは、余りにも勿体ないことです。
筆者は、研究者として、様々な研究や実験を通して、「人が限られた時間の中でどう幸せに生きられるか」を探求しつづけており、私たちに多くのの知恵を教えてくれています。
本書を読んでみて
毎日を幸せに過ごせる時間の使い方に関して、筆者の体験、実験、研究を通して多く知ることができるので、とても読んでて勉強になりました。
他には、ワーク式で時間管理の方法について学ぶことができ、普段の生活リズムを振り返り、客観的に見直すことが大切であるとを改めて認識できました。
概要について
全9章から構成されています。
・1章
時間貧乏の社会と幸せな時間について触れています。以下の4点を紹介しています。
①現代人は、やることが多すぎるのにそれをこなす時間が足りない感覚が社会に蔓延している(時間貧乏社会)。
②1日の可処分時間(やるべきことを除いた自由時間)が2時間未満であると、ストレスから不幸せになる傾向にある。一方で、可処分時間が5時間以上であると、目的意識が失われ、幸せの低下に繋がる傾向にある。
③極端の例(②)を除いて、1日の可処分時間の長さと幸せは無関係であり、時間の使い方に充実感を感じられることが大切である。
④お金を稼ぐことよりも、時間を大切にすることに意識を変えることで、より幸せになる為の時間の使い方を模索するようになり、その結果、幸福感が高まる。
・2章
時間貧乏と時間的な余裕について触れています。以下の3点を紹介しています。
①時間貧乏は、不健康状態や、人への親切心の損失、自己肯定感の低下などのネガティブな結果を引き起こすうえ、幸福感も下がる。
②時間貧乏から時間的余裕を持つ感覚に変化することが重要であり、やりたいことをやる時間を作り出す必要がある。
③時間的余裕を作り出す為の具体的な方法として、体を動かすこと、親切を実施する(人助けをする)こと、畏敬の念を味わう(自然、芸術、人の偉業に触れる)ことがよい。
・3章
幸せな時間と不幸せな時間について触れています。以下の5点を紹介しています。
①家族や友人との交流することや、屋外に出て自然の中で過ごすことが、「幸せな時間」として感じるものに該当する傾向にある。
②仕事、通勤、家事が、「不幸せの時間」として感じるものに該当する傾向にある。
③時間を使うにあたって、楽しさと意義深さは密接関係にあり、有意義であるが、楽しくない時間(仕事など)と、楽しいが有意義でない時間(テレビ視聴など)の2種類に分類される傾向にある。
④日々の生活で生み出される幸福度を知ることは重要であり、最も幸せだと感じる部分を記録し、その部分を日常に落とし込むことで、幸せな時間を作り出すことができる。
⑤人とのつながりが大きな幸せを持たすことが知られており、絆の強い人間関係や、帰属意識を持つことは、日々の生活での心のケアに繋がる。
・4章
やりたくないことを楽しくやる方法について触れています。以下の3点を紹介しています。
①家事や、仕事、通勤は、幸福度が低い活動とされているが、楽しめる活動と抱き合わせることで、その時間が楽しいものへ変化する(通勤の場合では、社内でオーディオを聴く。電車で本を読むなど)
②お金を上手く使い、家事などを代行してもらうことで、そこで生まれる時間を自分の楽しいものや幸せなものへ変化させることができる。
③仕事のモチベーションや、楽しさ、満足度を上げるには、自分の仕事の目的を見つけることや、職場で友人を作ることが大切である。
・5章
幸せにする時間をもっと幸せにすることについて触れています。以下の4点を紹介しています。
①幸せな時間は習慣化することで、慣れてしまい、幸せ自体を感じられなくなってしまう傾向なにある(快楽順応)。そのため、人生の大小の喜びを見逃してしまう。
②人生の喜びを味わい続けるには、自分の残りの人生から逆算して、あと何回できるかを算出することや、ルーティン活動を祝福すべき特別な儀式に変えることが大切である。
③他には、毎日、毎週の活動にバラエティを持たせることや、大好きなことから偶に離れることも大切である。
④年齢を重ねる、危機に直面する、1つのライフステージが終わるといったときも、また自然と喜びを感じることができる。
・6章
先のことより今に集中することについて触れています。以下の4点を紹介しています。
①人は、心がさまよい注意力が散漫になると、今の幸福度が下がる。その為、今の幸福度を上げることが先の幸福度を高めることに繋がる。
②バカンスのような時間を取ることで、今の時間にしっかり向き合えるようになり、幸せだ高まる。
③瞑想を実施することで、今という瞬間に意識を向けられるようになり、将来への不安が鎮まる可能性もある。
④スマホなどの集中力を削ぐものから自分を守る環境を作り、フロー状態に入ることが大切である。
・7章
時間を費やす優先順位をつけることについて触れています。以下の3点を紹介しています。
①有限である時間のガラス瓶を思い浮かべて、自分に喜びをもたらしてくれる活動(ゴルフボール)の時間を見極め、守り、優先させる。身にならないような不要な活動(砂)を優先させてしまうと、自分にとっての幸せな時間が減少する。
②頼まれごとに対して「ノー」と言える勇気を持ち、将来的に時間が取れるといった誤った考えに走らず、今や目先にある喜びに注目する。
③楽しめる活動を先送りにすることで、深い後悔の念を抱く可能性がある。
・8章
カンバス(予定表)に1週間の予定を入れることについて触れています。以下の9点を紹介しています。
①視覚的に時間をクラフティングする。理想的な1週間を作る為に、活動を選び、置く場所を決めて、並びを変える。
②ポジティブな時間から埋めていき、家事からの影響は最小限にするべく活動の予定を組む。通勤や仕事などの固定時間を埋めることを忘れない。
③最も重要な活動の為の時間(人とのつながりを感じる時間、目的を叶えるのに役立つ時間、考える時間、何もしない時間、自分のためだけの時間)を確保する。
④「電話使用禁止ゾーン」を設けて、気が散るような時間を生み出さない。
⑤やりたいことに必ず時間を使えるように、「やりたい活動」を「やらなければいけない活動」を抱き合わせる。
⑥家事をもっと楽しめるようにするために、「やらなければいけない活動」と「やりたい活動」を抱き合わせる。
⑦幸せになれる活動を週全体に分散させ、その活動をする際に味わう喜びを高めたり、心待ちにする時間を増やす。
⑧幸せになれない活動を纏めて、猛烈に煩わしいと感じたり、考えるだけで嫌な気持ちになったりする時間を最小限に抑える。
⑨1週間全体として、客観的に見ることで、時間をどう使うか決める際に、ある活動を「するか否か」ではなく、「いつするか」へと捉え直すことができ、葛藤や罪悪感を緩和できる。
・9章
人生全体を俯瞰して見ることについて触れています。以下の6点を紹介しています。
①時間を俯瞰することで、幸福感や満足感が高まり、人生の意義が高まる。それに伴い、単に緊急な物事にではなく、大切な物事に時間を費やそうとする気になる。
②大局的な見方により、一番の幸せを感じる経験は何か、幸せをどう経験するかは、歳とともに変化する。特別な経験から普通の経験、ワクワクから落ち着きへと変わる。
③人生全体の満足度を上げる唯一にして最大のの予測因子は、自分を支えてくれる強力な人間関係(家族または家族のように感じる友達)があることである。
④「した後悔」(しなければよかった)は、ひどい結果になりがちである為、すぐに対処でき、長引かない。一方で、「しなかった後悔」(すればよかった)は、気付かぬうちに忍び寄ってきていつまでも引きずり、人生最大の後悔となる。その為、後で大きな後悔にならないよう、今すぐ行動を起こして対処する必要がある
⑤人生における幸せと意義は、密接に繋がっており、ネガティブな経験の意味を理解し、そこから学び、乗り越えることも、また人生の意義に繋がる可能性がある
⑥人は、ある経験のピークや終わりの瞬間に最も影響を受け、鮮明に記憶する。その為、最も幸せな時間に焦点を当て、祝福できるように自分の時間を作り上げることは大切である
本書の魅力について
「幸せに生きる時間の使い方」をテーマに、筆者が長く探求し続けてきた過程について、体験や研究を通して学ぶことができます。
また、論理的に内容が触れられている為、とても分かりやすいです。毎日忙しく過ごす私たちにとっては、欠かせない書籍であります。
まとめ
今回は、[「人生を充実する」時間の使い方]を紹介しました。
皆さんも、本書に触れて、毎日の時間の使い方を一度見直して、幸せに過ごせるように変えていきましょう。
こちらからAmazonで本書を購入できます。
他の書籍も紹介していますので、是非見ていただけると嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。