テクノロジーの進歩が絶えない現代では、SNSをはじめ、投稿される他者の日常生活を簡単に知ることができるようになりました。

また、オンラインサービスも充実し、通販だけでなく、恋人やビジネスパートナーもアプリ等で気軽に知り合えるようになりました。

こうした恩恵を受けられる反面で、人間の精神性はますます欠如する傾向にあり、年齢を問わず孤独感を抱える人で溢れています。

こうした背景には、生まれ育った環境や、他者との競争社会に晒されることに伴う自己肯定感の低下、分断社会の形成に伴う紛争経済的格差社会の成立、流行病など様々な要因が存在します。

孤独を「健康問題」や「社会問題」として捉えられるようになった現代では、孤独を理解することは、今を生きるうえで必要なことであり、克服できるか否かで、その人の生きやすさが大きく変化します。

本書の前編では、孤独感の克服には、社会的なつながりを持つことが重視されていました。

表面的ではなく、実際に人と対面しながら奉仕活動に取り組み、成し遂げることで、「自分の存在が誰かに役に立てられる」といった生きる喜びを他者と共有し合うことができるようになり、幸福感を感じられます。

社会的なつながりをもつ生き方は、本来人間が持っていた本能であり、テクノロジーの進歩に依存する私たちは、如何に本能から遠ざかる生活をしてきたのかを痛感させられます。

後編では、よりつながりのある人生の生き方についてフォーカスしていきます。

前編で触れた「孤独感の克服」の内容に則れば、社会的なつながりを持つコミュニティが充実するだけでなく、思いやりを持てる人が増えることにも繋がります。
この素晴らしいスパイラルを作るヒントを一緒に探していきましょう。

本書を読んでみて

孤独感から目を背けたり、受け入れたままで済ませず、何か小さいことからでも行動を起こして、他者と繋がる機会を作っていくことが大切であると改めて認識しました。

孤独感を抱える人を減らすことを目的に、今はブログで書籍を紹介していますが、行動範囲を少しずつ広げていき、行く行くは、コミュニティに所属又は立ち上げて、多くの人達と直接関りながら奉仕活動をやりたいと思っています。

概要について

第2部  よりつながりのある人生を築く(6章~8章)
から構成されています。


・6章
孤独感を受け入れ、ありのままの自分で生きることについて触れています。

社会的なつながりを持つ前段階として、自分が抱える感情や、気持ち、行動を客観的に眺めて、理解をすることで、本当の自分に反しないように意思決定を下すことができるようになることが大切であると伝えてます。

具体的な自己認識の方法について、以下の5点を紹介しています。

①内省する時間を作る
②読書をする
③瞑想する
④芸術に触れる
⑤自然環境に触れる

上記で紹介した時間を持つことで、周りの環境ではなく、内側の在りたい自分に従って生きることができるようになると伝えています。

また、そうした経験を通して、安心感を感じ、他者への思いやりを持つことができるようになると述べています。


・7章
円滑な人間関係と孤独感の克服について触れています。

自分を中心に社会との関りを図示する時に、同心円状に内側、中側、外側の3つの交友範囲を描くことができ、孤独感の大きさと対応していると述べています。

①内側:インナーサークル(親密圏)➡家族、配偶者、恋人、親友との関わり

②中側:ミドルサークル(関係圏)➡近隣人・知人との関わり

③外側:アウターサイクル(集団圏)➡職場の同僚・オンライン上の知人との関わり

①が希薄であるほど、孤独感は大きくなり得る傾向にあり、現代人の多くが該当しています。

しかし、SNS(オンラインのつながり)や、コミュニティ(オフラインのつながり)をうまく活用することで、②や、③を濃密にできるようになり、孤独感を和らげることができると伝えています。

これは、自分とは普段関わりが無い赤の他人からでも孤独感を克服できることに繋がります。


・8章
思いやりを持つ子供が育つ社会を作ることについて触れています。

子どもの成長は、親や近隣人との関わりや、周りの環境で大きく変化します。
社会的つながりを失わず、他者に対して思いやりを持てる家族の在り方について述べており、以下の3点を紹介しています。

①子供にデジタル機器の活用方法の教育を怠らず、過度の使用に対する制限を設けて、子どもの社会的交流の機会を減らさない

②家庭でのコミュニケーションを怠らず、子どもが抱えている悩みを抽出できるような環境を作る

③学校などの、競争社会から離れた環境に一時的に身を置いて、子どもがありのままの自分を出せる時間を作る

他には、「子どもの自尊心や、共感力、高い対人コミュニケーションスキルを身に着けさせる教育プログラム」を取り入れている小学校を紹介しています。

他者に対する思いやりを持った子どもが育つだけでなく、親の子育ての知識・スキルや、精神的健康の向上に結びついていることを伝えています。

本書の魅力について

後編では、社会的なつながりを持ち、孤独感を和らげるための具体的な方法について紹介しています。

社会的つながりを持てない人達の生きづらさを訴えるエピソードは、身近に感じる内容であり、誰にでも起こり得る為、当事者の対場で向き合えます。

本書を通して、科学技術の進歩に飲み込まれず、人の精神性を上げていくことや、他者に対して思いやりを持てる社会を作ることが大切であるとを教えてくれます。

まとめ

今回は、「孤独の本質 つながりの力 ヴィヴェック・H・マーシー <後編>」を紹介しました。

両編を通して、本書は、現代社会で孤独感を抱える人達に焦点を当てており、生きやすくなる為の生き方や、考え方、行動の仕方を伝えています。世の中の人の大部分に該当する為、決して他人事として済ませられない内容になっています。

是非、一度読んで孤独を知り、自分の生き方を振り返ってみてください。

こちらからAmazonサイトで本書を購入できます。
他の書籍も紹介していますので、是非、見てください!
ここまで読んでくださりありがとうございました。