コロナ禍により、強制的に人と接点を持つ機会が制限され、今までにも増して孤独を感じる人が増えるようになりました。
これは、同時に孤独にどう対処するかについてきちんと考える機会を与えてくれました。
本書では、「嫌われる勇気」の著者でもある岸見一郎さんが、日常で感じる様々な孤独について触れながら、対処する為の生き方や考え方を、アドラー心理学や哲学を取り挙げながら解説しています。
本書を読んで
孤独感と孤独は異なること(本書の6章で触れる内容)については、前回の投稿した書籍「孤独を生きる 齋藤孝」でも、全く同じ内容が触れられていました。
人は、多数派に依存しやすい生き物であり、一時的に安心を得ることができても、時代の変化の波に飲み込まれる度に不安に駆られます。
依存せず、孤独な状況であっても自分らしく生きることで、人生により深みが出て楽しくなります。また、孤独の時間は、自分を成長させてくれるものです。
この機会に、孤独を愛し自分らしく生きることについて考えてみてはどうでしょうか。
概要について
全7章で構成されています。
・1章
コロナ禍による自粛活動で、今まで当たり前だと思われていた価値観が変化したことについて触れています。
それに伴い、家族、友人、職場、学校等の社会から見た自分の距離感(ソーシャル・ディスタンス)にも変化が起こる。
その結果、孤独に対する捉え方や考え方は人によって異なるものであるということを具体的な事例と、アドラー的視点を取り挙げながら言及しています。
・2章
人間関係と孤独の付き合い方について触れています。
以下の2点を挙げています。
①友人、職場に関しては、自分が幸せになれない人間関係に執着する事を止めて、自分らしく生きられる勇気(嫌われる勇気)を持つことは大切であると述べています。
②親子に関しては、お互い孤独の時間を持つことは大切であり、その結果、お互いの精神的な成長に繋がるということを筆者のカウンセラーの実体験とアドラー心理学を取り挙げて言及しています。
他には、カップル、夫婦についても取り上げており、コミュニケーション能力不足により、お互いの孤独を増幅させると述べています。
・3章
SNSの普及に伴う孤独について触れています。
世の中に対し異議を唱える発信者は、世間体や多数派に従う人達から誹謗中傷を受けやすい傾向にあり、孤独になりやすい。
筆者は、理由について、アドラー心理学や哲学者たちの言葉を引用して述べています。
一方で、孤独を無くす寄り所としてSNSを使用する人についても触れており、自分を見失うどころか更に孤独に追いやる結果になることを実例を取り挙げながら伝えています。
・4章
長生きに伴う孤独に関して述べています。
親の介護や、8050問題を取り上げており、筆者の介護体験やカウンセラー経験を交えて、乗り越えれる考え方を説明しています。
他には、「未来に向けた原因論」という筆者の考え方があり、これからの人生の在り方を決める原因を決めるのは、今を真剣に生きることで自分の人生を豊かにできることを具体例を挙げながら解説しています。
・5章
死に対する孤独の向き合い方について触れています。
死は誰にも訪れるものであり、どのように死ぬか分からないからこそ、死に対する不安を持たず、今を生きる喜びを感じることで、死を受け入れられるようになることを具体例や、詩人、著者、哲学者の作品の引用部分を挙げながら伝えています。
・6章
哲学者「三木清」が遺した人の孤独に関する哲学を考察しています。
筆者は、孤独と孤独感を区別している。多数派に執着する孤独感を捨てて、孤独の状況であっても、自分らしく生きようと自立することで、愛が生まれる。
そして、自立して生きている者同士が繋がることで孤独を乗り越えられると伝えています。
・7章
孤独を克服することについて触れています。
周りの人からどう思われようと、自分のやりたいことをやる。または、自分が正しいと思うことをやる。
それを続けることで自分を信じてくれる人ができる。その経験が自分の自信に繋がり、孤独を恐れなくなることをアドラー心理学や様々な著者の作品の引用部分を取り挙げながら伝えています。
本書の魅力について
哲学とアドラー心理学の視点で且つ、物事を俯瞰的、中立的に捉えている為、人間の抱く感情や、それに伴う行動の本質についてを深く掘げて解説しています。読んでるだけで、学びや発見が多かったです。
まとめ
今回は、「孤独の哲学 生きる勇気を持つために 岸見一郎」を取り上げました。孤独を紛らわさず、受け入れ自分らしく生きることができれば、未来に対する不安に駆られることなく今この瞬間を生きることができる。
これこそ、どんな時代でも人生を楽しむ最もシンプルな方法かもしれません。
是非本書を読んで、自分らしく生きる方法を探してみてください。
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他の書籍も紹介していますので、是非読んでみてください!
ここまで読んでくださりありがとうございました。