ドイツの心理学者エーリッヒ・フロムは、第二次世界大戦以前より現代資本主義社会の本質を見通しており、人間らしさ「ヒューマニズム」を失うことへの危機を感じ警告していました。
それは、本当の自分を持たず、周りの人の顔色を見ながら、意見にただ従い、自分らしく生きることができなくなってしまうということでした。
今日の世界情勢を見つめてみると、正にフロムが警告していた通りの状況に至っています。
筆者は、フロムの警告を「予言」として捉え、今こそヒューマニズムを取り戻すべき時であるとフロムの遺した言葉を取り挙げながら伝えています。
本書を読んでみて
フロムが唱えたヒューマニズムの概念が、正に今の私たちにとって必要不可欠なものであると感じました。
他者に(社会に)依存して生きている人が多く、自立して生きている人が少ない現実を改めて認識できるいい機会になりました。
私の場合では、ブログを始める前は、会社員の生活に依存していて心が疲弊していましたが、今では、帰宅してから寝るまでの時間や、休日の時間をブログに費やすようになった為、以前と比べて心が軽くなりました。
今回を機に、自分らしく生きる方法を見つけてみてはどうでしょうか。
概要について
全7章から構成されています。
・1章
エーリッヒ・フロム生涯について触れています。
フロムが、ヒューマニズムの思想を体系立てるきっかけとなった出来事(家族関係、友人関係、戦争等)を時系列順に解説しています。
・2章
フロムが唱えたヒューマニズムについての概念について、また、ヒューマニズムに基づいて行動することで、生きる喜びを感じられることについて具体例を挙げながら解説しています。
・3章
現代人が、ヒューマニズムを手放して生きていることに触れています。
ヒューマニズムを取り戻すには、理性(自己感覚)に従い本質を見抜くことや、良心(人が正しいと思える心)に従い、多数派に流されずに生きていくことが必要であると伝えています。
この場合、孤独に生きる覚悟が必要ですが、自分の視野を身近な環境から大きく広げた時に、ヒューマニズムで生きる人との連帯を感じることができれば、孤独を感じることはなくなると述べています。
・4章
人生で避けられない問題(人の死や自立等)との向き合い方について触れています。
乗り越えるためには、孤独を受け入れ、理性に従い、自分の力で考え解決することであるということをフロムの言葉を取り挙げながら説明しています。
・5章
フロムが唱えた性格論の概念について触れています。性格論は、哲学者フロイトと、マルクスの理論を綜合させ体系立てたものです。
性格論では、「同化」と「社会化」の過程において人間の性格を大きく2つに分けています。更に、性格を「非生産的方向づけ」と「生産的方向づけ」の2つに分けています。
本章では、分類される性格についてそれぞれ解説しています。
・6章
孤独を克服する方法について触れています。克服するには、一度孤独になり、他者から切り離された状況で自分の理性に従い生きること、そして、孤独で生きる人同士が繋がりを持つことが重要であると伝えています。
また、見返りを求めず人に愛を与えられる(自分と他者の間を切り離している壁を越えて、他者を理解しようとする人)もまた孤独を克服できると伝えています。
・7章
フロムが、孤独で生きることに不安を持つ人の背中を後押しする、勇気ある言葉を遺しています。
本書の魅力について
本のページ数は120ページ程で読みやすく、内容はとても濃い為、読み応えがあります。内容に対する深堀点が多い為、読み進めるたびに学べることが増えていくのが一番の魅力です。
まとめ
今回は、「エーリッヒ・フロム 孤独を恐れず自由に生きる 岸見一郎」を取り挙げました。是非、本書を読んで自分らしく生きる方法を探してみてください。
最後に、本書の7章でフロムが遺した言葉で、強く惹かれたものを以下に紹介します。
・「社会によく適応している人であっても、期待されていると信じる人間になるために、代償として自分を捨てている」 (書籍 自由からの逃走より)
・「生きることは、生産的であるということ、どんなものであれ人間を超える目的のためではなく、自分自身のために自分の力を使うことであり、自分の人生を意味あるものにし、人間であることである」 (書籍 人間における自由より)
自分らしく生きられる人を1人でも多く増やしていきたい為、今後も発信していきます。
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他の書籍も紹介していますので、是非読んでみてください!
ここまで読んでくださりありがとうございました。